【施術論】体がほぐれるメカニズムと整体の真髄!
今回は「施術論」と題しまして、体がほぐれるメカニズムから読み解く整体の真髄についてお話してまいります。
私が整体師になるきっかけは、ブラック企業に勤めていたときに体がボロボロになったことでした。
なので、今回お伝えすることは私自身の体験記でもあります。
今回の記事が施術に悩まれている方、
これから整体師を目指す方の参考にもなれば幸いです。
体がほぐれるメカニズム
世間的には「整体をやってます!」
というと、
- 「え、マッサージ?」
- 「え、ボキボキするやつ?」
- 「え、浪越 徳治郎?」(←指圧の心は母心の。)
など、
なんとなくのイメージが強いのではないでしょうか?
たしかに整体で行われている手技療法は実に多岐にわたるので当然ですが、
施術の本質はただ揉むことでも、
スゴイ技を使うことでもなくて、
“人の身になる”ことと言えます。
では、体がほぐれるメカニズムから分かりやすく説明していきましょう。
整体では主にコリをほぐして血行を促すことを目的としますが、神経も関係しています。
キーワードは、血行と神経。
プリューゲル・アルントシュルツの刺激法則というものがあります。
弱い刺激をすることで神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で静止するという法則である。
Wikipediaより引用
え?って感じですね。
そのまま普通に解釈するとなんとなく・・・。
- 弱い刺激は、神経を呼び覚ます
- 中程度の刺激は、神経が活動状態になる
- 強い刺激は、神経の活動状態が抑えられる
- 最強度の刺激は、神経の活動が止まる
この法則は、マッサージなどによる刺激の強度と神経や筋の興奮性についての法則ですが、自律神経を例えれば分かりやすいかもしれません。
- 心地よい感覚(弱~中程度)=リラックスして筋肉が緩む
- 強いストレスなど(強い~最強度)=緊張して筋肉が縮む
ギュッとまとめて!
筋肉の緊張は神経によって調整される。
強い肉体的・精神的ストレス状態が続けば、筋肉は緊張して縮みっぱなしなので、筋疲労を起こして血行不良になってコリコリになるという仕組みです。
例えば、
- 長時間のデスクワークや肉体労働
- キッツイ職場の人間関係
- 目を離せない育児や介護
- 冷え切った仮面夫婦生活
などですね。
プリューゲル・アルントシュルツ の刺激法則は、あん摩マッサージ指圧師の基礎理論にもなっているようですが、施術者により都合よく解釈しているきらいがあります。
例えば、弱い刺激は神経を呼び覚ますので「軽いマッサージでよい 。」
また、強い刺激は体にとってよくないので「強く押してはいけません。」
みたいな主張にもなるようです。
でも、これでは、
法則を断面的に切り取って心の部分を無視しているのではないでしょうか。
力加減は人によってまったく異なる
例えば、温泉が大好き!という方も多いいと思います。
水圧と温熱効果で血行が促進されて、
温泉の心地よい湯加減が脳に伝わり、
心身をゆるゆるにしてくれる!
温泉の効果も「血行と神経」が関係しています。
コリをほぐす最も効果的な方法は押圧(押す力)です 。
コリを押すことで脳に心地よい刺激を与え、放すことで一旦せき止めた血流を加速させます。
ようするにポイントは適度な刺激ですが、
ザックリ言うと、
- 強い圧を求めている体に弱い圧ではストレスが溜まるだけ
- 弱い圧を求めている体に強い圧ではただの苦痛になるだけ
いくら温泉でも冷たかったり熱すぎたらリラックスできませんよね。
ちょうどいい湯加減が必要です。
また、適温は時期で変わったりします。
一般的には、「低めの温度の方が副交感神経が優位になってリラックスできる。」
と言われますが、
確かに暑い時期はぬるい方が気持ちいいですが、寒い時期は熱めの方が心地よく感じませんか。
冬はぬるかったら寒いですよね。
理屈的には分かるのですが、判で押したように、「低めの温度の方がリラックスできる」という一方的な主張になるのは心の部分を無視しているからです。
心の部分と筋肉の性質
先ほど言ったように、体をほぐすためには適度な刺激(圧)の強さが重要です。
刺激が強すぎると受け手の体は防御的に力が入り、無駄な力と力がぶつかり合ってしまいますし、弱いと心地よい刺激を与えることができません。
一人ひとりに合った力の加減がとても大切なのです。
心地よく感じる刺激の強さは人それぞれなので、私はまずお客さまにとっての最適な基本圧を決めます。
- 揉解弱圧
- 弱圧
- 弱中圧
- 中-(マイナス)圧
- 中圧
- 中+(プラス)圧
- 中強圧
- 強圧
これは私の決め方ですが基本圧から部位によって、またその日によって変化させていきます。
お体に触れた感じで大体の判断はしますが、結局のところお伺いしないと分からないのでハッキリとお伝えください。笑
「刺激の強さは体をほぐす最も重要な要素!!」
といっても過言ではないので。
体がほぐれるメカニズムは、 脳に心地よい刺激を伝える・血流を促すことで筋肉をゆるませる 。
心と体は表裏一体なので体が求める圧の強さが必要なのです。
この辺りが西洋医学が捨てたと言われる心の部分であり軽んじてきた筋肉の性質です。
東洋医学が得意とする分野といえるでしょう。
整体の真髄
整体師は一般的に、押したり揉むことで筋肉のコリやハリをほぐす仕事です。
その真髄は筋肉のコリを捉えてゆるませること。
的確にしっかりと押せることです。
なぜなら、それが一番大変だから。
では少し具体的に説明してまいります。
整体に関していうならいくら高額を支払ったからといって「必殺技」は存在しません。
せっかくお金と時間を使って整体にいくなら力加減を自在に操って丁寧に押してくれるところを選びましょう。
私事ですが、
強押しのお客さまが続いた日は箸が持てず犬のように御飯を食べるときもあります。
いやー、
こんな指でよく押してたなって思いますよ。
プリューゲル・アルントシュルツの刺激法則のところで、「強く押してはいけません!」
という主張になる最大の理由は残念ながらここにあるのではないでしょうか。
「しんどいことはイヤ!」
それは人間の正直な本能の部分なので。
揉み返しで「痛くなった。」
稀に「青アザができた。」
なんてこともあるようですが、理由は2つです。
- そもそも力加減を間違えていた
- 押す技量がなかった(力任せ)
適切な力加減できちんと押す技量があれば体に無理な負担をかけることはありません。
それでもちょいと揉み返しがきたときはギリギリまで攻めた結果少しやり過ぎたかな・・・と、
自己弁護しておきます。笑
体がほぐれるメカニズムはお伝えしましたが、先ほど例えた温泉と整体の違いはここです。
「強いコリは押し込まないとほぐれない。」
ストレッチでも同じです。
いやー、
ガチガチの筋肉ってムリに伸ばそうとしたらヤバいんですよね。
昔、首や背中がコリまくって痛かったので、イーッとなってムリに伸ばそうとしたら鈍い音とともに筋肉が断裂しました。
硬結したコリの塊は伸ばせません・・・。
整体の真髄は、なんだかスゴそうな理論や技ではなくてしっかり押すことです。
施術者の領域
仕事のスタンスは人生そのもの。
家族や親友や恋人にでも同じことを言うのか・するのか?
施術の本質は、人の身になる。
先ほど首や背中がコリまくって痛かったと言っていましたが、施術の本質は「人の立場になって言動する」ことと言えます。
けっこうボロボロになった経験があれば、
「こっていますね。」
「こうした方がいいですよ。」
なんて、のんびりしたこと言わないですからね。
でも、痛みを知らない人は上辺でものを言います。
筋肉を知らない人(一部のセラピストや医師)は、教科書通りの知識で考え人を見ようとはしません。
中国の古い言葉に「医者たるもの親の心を持て」と耳にしたことがありますが、整体でも同じです。
指圧の心は母心、押せば命の泉湧く
浪越徳次郎
リスクを背負うという考え方。
例えばあなたが整体を受けにいくとしましょう。
そこで実際には効果のない施術にそこそこの金額を支払っていたらどうですか?
詳しくはこの記事と合わせて読むべき記事!
そもそも整体とは?基礎から業界のホントまで網羅 をご覧ください。
⇧その業界の方には不都合なことも書いているので不快に感じる人もいるでしょう。
たとえ事実でも因果は巡って罵倒されるかも知れません。
でもその因果応報に背を向けるのではなく、やっぱり事実はお伝えすべきだと思っています。
なぜなら、自分が宣伝文句にのせられて無駄なお金と時間をつぎ込んでいたらイヤなので。
「治せるのか!?治せないのか!?それだけじゃ!!」
整体学校の直営店で働いていた駆け出しの頃、超個性的なお客さまがご来店。
お歳は70歳過ぎ位で言い方を変えれば、メチャややこしそうなお客さまS氏。
なんでも相当あちこち受けて回っているようで一言でいうと「まともな治療院が無い。」
(S氏の個人的な感想です。)
「『こっていますね』とか、『こうした方がいいですよ』とか、そんなことを聞きに来たんじゃない!治せるのか!?治せないのか!?それだけじゃ!!」
みたいなことを受付で長々と話しています・・・。
要するにこって辛いところがあるので、ほぐせるのか・ほぐせないのか、ってことですね?
ここはうちのエース(先生)に任せるしかありません。
施術中は一転して静か・・・。
施術が終わって皆が見守る中(ゴクリ)、
特になにも言わず会計を済ませてお帰りになりました。
可もなく不可もなくな感じでした。
ただ、強烈なインパクトだけを残して。
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それから私はご縁をいただき、師匠となる大先生のもとへ。
ただただ技術を得ようと精進していたある日、超個性的なお客さまがご来店。
なんでも相当あちこち受けて回っているようで、一言でいうと「まともな治療院が無い。」
「『こっていますね』とか、『こうした方がいいですよ』とか、そんなことを聞きに来たんじゃない!治せるのか!?治せないのか!?それだけじゃ!!」
はて?
どこかで聞いたようなことを延長と。
・・・まさか!?
奴だ、S氏が来たんだ・・・。
大先生は不在、順番的に私が担当です。
(サクッとやってサクッとお帰りいただこう。笑)
しかし、お金を頂く以上は師直伝の奥義をもって応えるのみ!
施術中は一転して静か・・・。
施術が終わり、S氏が口を開きます。
(最善は尽くした。黙ってお帰りか、それとも怒られるのかな?へへっ。)
S:「先ほどは失礼しました(ペコリ)。」
私:「はい?」
S:「暴言の数々、無礼を申したにもかかわらず見事な治療!いや、まだお若いのに。」
私:「はい?」
S:「私が今まで受けてきた治療の中でも10本!・・・いや、5本の指に入る!!!」
私:「はい?(キョトン)」
(個性的なお客さま5本の指に入るので、結構正確に覚えています。)
S氏のあまりのインパクトにそばにいた兄弟子(女性)は涙ぐんでいました。
また、私がエースより優れていたわけではありません。
施術には相性があるのも確かでS氏に嵌ったんですね。
整体は手技療法なので、施術で結果を出すことが大切だということの一例です。
まとめ
さて、ひたすら「押す」と言ってきましたが、実際の施術ではいろんな手技を交えることでより押す力が生きてきます。
その心地よい感覚が心と体の緊張を解きほぐしていくということですね。
そして施術で大切なことは人の身になる。
流行っては廃れる手法を追いかけるのではなく、整体の本質はいつの時代も変わりません。
ではでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
整体で人生を豊かに!
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