そもそも整体とは?基礎から業界のホントまで網羅
整体を一言でいうと、「体をほぐすこと」です。
街でよく見かける、
- 整体
- マッサージ
- カイロプラクティック
- タイ古式マッサージ
- もみほぐし
- リラクゼーション
などの看板は、整体と一括りにできます。
文字通りに解釈すると体を整えることで、その技術・手段を意味します。
なお、ウィキペディアには下記のようにありますが、この記事は日本語の整体の意味です。
中国語の「整体」は全体、総体、または全体観(ホーリズム)という概念を意味しており、日本語の体の筋骨を整える治療技術を指す整体とは意味が異なる。
Wikipediaより引用
目次
そもそも整体とは?
かあさん おかたを たたきましょう タントン タントン タントントン
童謡 肩たたき
もっともお母さんがお子さんに「タントン タントン」しているご家庭もあるでしょう。
これが整体です。笑
整体法は癒しの技法、普通の感覚で手を当てることから始まりました。
「手当」の言葉の由来は各説ありますが、
(患部に)
- 手を当てる
- さする
- 撫でる
これが世界中の整体(マッサージ)のルーツです。
私は「整体」と「マッサージ」を同義に捉えています。
正しくは、
- 整体は民間の療法
- マッサージは医療
と分ける必要があることをお伝えし、このブログではそんな教科書通りの枠をヒョイと超えてまいります。
整体の定義は曖昧だけど手技療法のこと
整体に明確な定義はないのですが、一般には「手技療法」のことです。
- 手技とは、手を使って行う技。
- 療法とは、治療の仕方・手段。
整体は「法的な資格制度のない医療類似行為」なので医療行為はできません。
医療類似行為とは、医師の専門知識・技能を必要としない疾患の軽減・健康を目的とした施術です。
医療行為ではありませんので、整体で行うことは「治療」ではなく「施術」といいます。
療法の定義が治療(=医療行為)なのでその辺りも曖昧ですが、いろんな意味で曖昧な業界なんです。
ここが整体の危うさでもありますが醍醐味とも言えるでしょう。
規則・定石に縛られた施術では、十分な対応はできない・満足しないお客様も多いいという意味です。
各手技療法についてググって見ると、
- 整体とカイロプラクティックの違い
- 整体とマッサージの違い
など、理論や特徴についての記載もありますが、すべての手技療法を整体(マッサージ)と一括りにして差し支えありません。
理由は後ほど述べますのでその辺りも含めて読み進めてみてください。
整体の目的と効果について
整体の目的をひとことで言えば血行の促進。整体の真髄は筋肉のコリを捉えゆるませること。そして、その効果は辛い症状が緩和・解消されることです。
(なお、「整体の真髄」については別の記事に書いているので記事の最後にリンクしています。)
整体(マッサージ)の目的は、
押す・揉む・叩く、などによる血行の促進。
体を揉めば筋肉の緊張がほぐれるのはごく普通に感じることなので、古代からマッサージが行われてきたことは当然の経験則からです。
動物が傷口をペロペロ舐めるように人は患部を手で押さえ擦っていました。
その手段を昇華させていったのが手技療法、すなわち整体です。
痛みを和らげたり、
疲労を回復させる、
医療の歴史そのものとも言えるでしょう。
たまに、「押さない・揉まない・叩いちゃダメ!」と主張する人もいます。
ビジネスモデルは自由だったとしてもその主張が痛いのは、動物が本能的に取る行動を否定していること。
(人間も動物の一種なので。)
ようは、押し方・揉み方・叩き方の問題でここがプロとアマの違いです。
整体は、筋肉の過緊張によって生じる不具合を軽減させ治癒を促す対症療法です。
その目的と効果は、コリをほぐし血行を促進させることによる症状の緩和・解消です。
結局のところ整体のルーツはひとつ
各手技療法にも歴史・理論・そしてアプローチの違いがありますが、目指すところは同じ(はず)です。
すべてのルーツは一つであり(手当)、古代から受け継がれてきた伝統療法に、さまざまな理論・手法が吹き込まれ現在に至っています。
日本でもお馴染みの手技療法を見てみると、
「按摩」は中国最古の医学書・黄帝内経(著作年代不明、紀元前二世紀に編纂)にすでに記載あり。
「マッサージ」は古代ギリシアの医師ピポクラテスが奨励し16世紀後期にフランスで医療として広まる。
「カイロプラクティック」は19世紀末に開発された治療法です。
これらは世界中に広まり互いに影響し合っています。
人体は小宇宙でも逆に「これだけのもの」と決まっているともいえ、人の手で出来ることには限界がある。
これが正解です。
ですから理論の方向性は同じであるべきなのですが・・・。
例えば、
中医学やアーユルヴェーダなどの伝統医学にみられる全体観は、それぞれのエネルギーのバランスが崩れた状態が病気だったり、 カイロの世界でも独自のエネルギーが流れているようです。
人の体の中って、見る人によって概念が変わったらおかしいよね!?
ということです。
そして、手技療法の理論には大きな難点があります・・・。
代替医療(整体)のウソ・ホント!?
代替医療とは近代西洋医療以外の療法のことで、民間療法や伝統療法ともいいます。
(代替医療と言っても多種多様ですが手技療法について述べてまいります。)
では、代替医療の真実に迫ってみます。
ちなみに科学的根拠とは人類の血と汗と涙の結晶であり、100%完璧ではないにしても「ご意見」が通用する次元のものではありません。
医学の父として知られるピポクラテスは、こう述べた。
代替医療解剖(新潮文庫)より引用
科学と意見という、二つのものがある。
前者は知識を生み、後者は無知を生む。
誰かが新しい治療法を提案したなら、それが効くかどうかを判断するためには、意見ではなく科学を用いなければならない、とピポクラテスは述べたのである。
科学は、真実について客観的なコンセンサスを得るために、実験や観察を行い、実施に試し、議論を戦わせ、真剣に話し合う。(中略)
意見は、主観的で相容れず、正しいか間違っているかによらず、もっとも宣伝のうまい者の意見が広まることになりがちである。
ピポクラテスは科学的根拠の大切さを説きました。
例えば、自然災害は神の怒りではありません。
そのことは科学的に説明できます。
観察・観測・実験・測定を行うということですね。
しかし地震なんかの前には動物の異常行動があった?とも聞いたことがありますが、人間にも本来備わっていて文明と引き換えに失った感覚かも知れません。
(いや、知りませんけど。汗)
なんらかの神秘的な感覚・・・。
それらが文明と共に失なわれたとしても科学は人類の英知です。
科学の本質はアーチボルド・コクランの言葉、「批判的概念」。
“それぞれの臨床試験の重みを批判的に検証しなくてはならない ” 。
結論に達してもさらに疑って真実を追求する超ストーカー的概念です!!
代替医療の科学的根拠
コクラン共同計画をご存知でしょうか?
コクランの「科学的根拠に基づいた医療(エビデンス=ベースト・メディシン)」は、
世界で公平な試験法と認められています。
公平な試験法とは、プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぎ客観的に治療効果を評価すること。
※ダブルブラインドテスト(二重盲検法)は、医療に関しては考えられる限りもっとも信頼できる臨床試験とされています。
※治療効果の、思い込み・偏見・先入観による影響を極限にまでなくす試験。
長年にわたるコクランの臨床試験は多くの代替医療の理論を否定し、その効果は「プラセボでしかない」という結論を下しました。
つまり思い込みです。
例えば簡単に、
- 鍼治療=「※妄想・効果なし」
- カイロプラクティック=「※危険・効果なし」
- 反射区療法(足つぼ)=「信じるに値しない」
※一部効果が確認されているような事例もあります。
ちょっと衝撃ではないでしょうか!?
私たちにとって(世界にも)ポピュラーな療法が・・・。
理論が否定されるというとは、特有の効果を説明する概念の道筋が崩れ去ったということになります 。
手技療法の理論による効果は、
思い込み(~限定的)なので、
施術による効果はマッサージとしての緊張緩和と考えるのが妥当という結果でした。
先ほどのダブルブラインドテストは間違っているとは考えなくていい試験法です。
ですからすべての手技療法を、
- 西洋的にはマッサージ
- 東洋的には整体
考え方としては差し支えない、
むしろ妥当といえます。
前途したように「すべての手技療法を整体(マッサージ)と一括りにして差し支えない。」
といった理由です。
コクランのホームページから気になるキーワードでエビデンスについて検索できます。
西洋医学と東洋医学の融合が最強!
近年は、医療と代替医療(西洋医学と東洋医学)のいいところを取り入れて、生活の質を向上させようという「統合医療」が位置付けられています。
- 西洋医学は、「悪いところを治せばいい」(人工的)
- 東洋医学は、「全体をよくすれば悪いところも治る」(自然)
いわゆる「統合医療」は、近代西洋医学と相補(補完)・代替療法や伝統医学等とを組み合わせて行う療法であり、多種多様なものが存在します。
厚生労働省「統合医療」情報発信サイトから引用
先ほど言いましたように、
中医学の基本思想である気や経絡には科学的根拠がありません。
- 経絡は気の通り道。
- 経穴(ツボ)は気の出入り口。
で、鍼を打つとエネルギーのバランスが整えられる。
こんな感じ。
背中は陽の経絡が流れているとされていますが、それは残念ながら“妄想”という位置付けです。
でも、一例をあげれば、
首の後ろにある風池というツボは押せば確かに目の疲れに効きます。
そのことを実践による経験則から得ていました。
いわゆる主要穴の位置は私も施術の指標になっていて、古代中国の英知は確かに今に生かされています。
エビデンスがないとすべてが否定されるものではなくて、科学と経験則の融合が最強です!
融合とは科学だけでは解明できないこと、また経験則のボヤッとした意見を排除することでしょう。
ただ、代替医療はただの個人的な意見が多すぎるんです。
整体の本質
整体の本質は、凝り固まった筋肉をほぐして血流を改善させ、自然治癒力を引き出すことです。
様々な症状の原因をネットで調べてみると、「体の歪み」や「筋膜」など、いろいろなことが言われて結局のところなにが本当かよく分からないのではないでしょうか?
過剰な宣伝文句が多すぎて、本当に・どこまで効果があるのか疑わしい書籍やサイトが多すぎるのです。
意味のない理論、表面的な知識やテクニック論に惑わされないように、本質をしっかりと理解しましょう。
整体(手技療法)というと理論や技術ばかりが言われがちですが、極端にいうと体をほぐせればテクニック論は不要なわけです。
「タントン タントン」お肩をたたきましょう。
気持ちいい肩たたきでもオッケーです。
実際には効果的に揉めることは高等技術ですが、手技そのものが特別な力で改善させるのではありません。
反対に、筋肉の過緊張をゆるめることが出来なければどんな理論・技術も無意味です。
正しくこのことを説明するためにエビデンスの話を持ち出しました。
また、高等技術というと小手先のテクニック論になりがちですが基礎・基本が大切です。
歪みについては:歪み商法に騙されるな!整体VS肩こり・腰痛の原因
筋膜については:筋膜リリースの真実!整体視点を交え効果を読み解く
をご覧ください。
まとめ
整体とは手技でコリをほぐして血流を促し、自然治癒力を引き出すためのサポート。
すべてはそのための手段にすぎません。
「再生力・免疫力=自然治癒力」。
整体では人間の体をロボットのように部品を取り換えるわけにはいかないので、痛みや疲れを治癒力で癒すしかありません。
また単に、肩が凝った・腰が痛い・疲れた、ことへの対処療法ではなく、明日への・豊かな人生への活力を担うもの。
それはまさに、生命力です!
そして、ストレス社会に中で、
リラクゼーションとしての役割価値が求められているのではないでしょうか。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
この記事の参考書:代替医療解剖 (新潮文庫)
関連記事:【施術論】体がほぐれるメカニズムと整体の真髄!
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